古伊万里に魅せられ、磁器を中心に二十数年骨董収集しています。
当ブログをご覧いただき有難うございます。 ご意見やご感想などをお寄せ頂ければ幸いです。



2011年8月23日火曜日

そば猪口・・・桐散し文印判手そば猪口















これは1990年12月に東京中野の古美術店で出会った印判手そば猪口。
桐の文様を、先ずは線の部分を型紙摺で表し、その後、葉の部分を
濃(ダミ)筆で塗り潰すという方法で描いています。
この技法は18世紀前半に盛んに有田で用いられています。
高台には「大明年製」の銘が手書され、口縁を少し反らせた器体は
透き通るように薄手で、小品ながら上手物としての技を見せてくれています。

2011年8月9日火曜日

明染付・・・青花雲鶴八卦文食籠















これは16世紀中国明の景徳鎮民窯で作られた食籠。
前掲と同じく吉祥文様である8つの算木と19羽もの鶴などで
器全体を所狭しと埋め尽くしています。高さ14.0㎝、径28.5㎝あります。
算木とは、古来中国の占いである易や計算に使われた木片のことですが、
木片の中央にみぞがついた面は二つの線、みぞのない面は一直線を表し、
これを3本ずつ組み合わせることで8種類のパターンを作り、
このパターンを八卦(はっけ)と呼び、天地火水などを表現したものです。
これら吉祥文様を明ブルーが温かく包み込み、見事な調和を見せています。

2011年8月8日月曜日

李朝壺・・・李朝染付寿算木文面取壺
















19世紀初めの李朝分院で焼かれた面取壺。(高さ11.3㎝径15.4㎝)
成形した器の表面にへらを入れ、胴を9つに面取りしています。
文様はいずれも吉祥文で、肩に寿と唐花が交互に夫々3つ、
胴には算木と瑞雲が夫々4つづつ描かれています。
李朝陶磁は柳宗悦らの民芸運動によりその魅力が日本に紹介され、以来、
数多くの愛好家が生まれたわけですが、その最大の魅力は何といっても
中国陶磁にはない人の温もりを感じさせる「柔らかさ」と「優しさ」であり、
手元において使ってみたいと思わせる、その日常性にあると云われています。
この壺は正しくこれら魅力を備え、また、白磁の釉色は分院窯の特長である
青白味を帯び、呉須の発色も美しく、存在感を更に際立たせています。