古伊万里に魅せられ、磁器を中心に二十数年骨董収集しています。
当ブログをご覧いただき有難うございます。 ご意見やご感想などをお寄せ頂ければ幸いです。



2012年12月26日水曜日

古志野盃 ・・・桃山無地志野盃


2年越しの想いが叶い、本年ようやく手にした古志野盃。
志野特有の
「柔らかな器体に長石釉の白が落ち着いた光沢を放つ」のではなく、
穴窯の火力の勢いが強すぎたせいか、器体は大きく歪み、
長石釉はガラス状に溶け土色を映しうっすらと赤みを帯びています。
その上、志野独特の
「火色」が胴裾底部や釉際や口縁の至る所に濃く鮮やかにあらわれて
おり、「志野盃」という言葉が思い描くイメージとは違い、
むしろ剛気で丈夫的な雰囲気を醸し出しています。
自然が創り出す無作為の美が随所に見られる盃です。
               (口径9.2×6.8cm、高さ3.5cm)
           

2012年2月7日火曜日

奥高麗茶碗・・・古唐津茶碗




























日本橋東湖堂で出会ったのが桃山時代(17世紀初め)に焼かれたこの古唐津。
口径12.0cm、高さ7.8 cmと少し小振りの奥高麗茶碗です。
日本の茶人が朝鮮の日用雑器のうちから「侘びの心」に適うものとして
掘り出し、珍重したのが、井戸茶碗を代表格とする高麗茶碗。
文禄慶長の役で朝鮮半島に攻め入った戦国の諸大名がこの高麗茶碗への
強い憧れから、彼の地の陶工を連れて帰り開窯させた一つが唐津焼です。
奥高麗はその唐津焼の一種で、無地で素朴な趣きのある茶碗。
奥高麗の名の由来は「渡来した朝鮮陶工が唐津の奥で焼いたもの」など
諸説あるようです。
この茶碗の特徴は次の通り。
① 素地は砂目の堅く重い土でやや鉄分を含み、作調は比較的薄作り
② 釉薬は長石に雑木の灰を混ぜた土灰釉で、釉面は赤味を帯び鼠色に発色
③ 口作りは少し開いたそり型、高台は竹の節状で三日月高台
しかし、この茶碗の最大の魅力は、腰部や高台付近に見られる梅花皮(カイラギ)。
これを景色として、多くの茶人たちが賞美し大切にしてきたものと思われます。